映画「星を追う子ども」のなかでも、今回は森崎先生にスポットをあてて、考察とネタバレをまとめてみました。

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星を追う子ども 森崎先生に関する考察とネタバレ

 

「星を追う子ども」に出てくる森崎先生は、アスナ、シンと共にアガルタを旅する登場人物です。元々はアスナの通う学校の代理教師としてやってきました。しかし実はアルカンジェリという組織に属しており、アガルタへ行く方法を探っていました。組織を裏切ってアスナやシンと共にアガルタへ入ることに成功しますが、森崎先生がそこまでしてアガルタへ行きたかったのには理由があります。

 

出典:http://www.cwfilms

森崎先生の目的は自分にとって最も大切な人、亡くなった妻のリサをよみがえらせることでした。初めから明確な目的を持って行動しており、途中で多くの困難や妨害にあっても決してあきらめることなく死者をよみがえらせるという場所へ向かいます。この映画の主人公は少年と少女ですが森崎先生は大人でありながら物語の大きな部分を占めている存在です。それは死んだものを生き返らせたいという、大人であれば決してかなわないとわかっている願いをどうしても捨てきれず、そのためなら他のすべてを犠牲にしても構わないというある意味子供じみたふるまいなのに、観る人の心を惹きつけます。

 

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アスナたちと行動を共にするものの森崎先生は決して味方ではなく、物語の中では悪役なのですが、愛するものを忘れられない気持ちがあまりにも強く、ひたむきなので、ひどいことをしても本当の悪い人だとは感じられません。長い時間ただひたすらに一つの目的だけのために生きてきたため、その目的が自分の生きる目的になってしまい、他の事は見えなくなってしまったのでしょうか。アスナとは疑似親子のように旅をしてきたのに、最後の最後で森崎先生はそのアスナを、妻をよみがえらせるために犠牲にしようとします。

 

結局、よみがえりはかなわなかったばかりか、自らの視力も、希望も全てを失ってしまった森崎先生ですが、観る者は悪役が負けてよかった、とは決して思わないでしょう。むしろこれまで彼を生かしてきた希望や目的を失ってこれからどうやって生きていくのだろう、地上に戻らない道を選んで絶望の中で生きていくのだろうか?と森崎先生のこれからに思いをはせるかもしれません。観ている者は森崎先生をまるでアスナやシンと同じ子どもであるように気にかけ、見守ってきたのです。

 

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星、つまり亡くなってしまった大切な者を追う子どもたちがこの映画の主人公たちですが、大人であったはずの森崎先生は共に旅する3人の中で最も子どもだったのかもしれません。3人は旅をしていく中で、旅の最後で、そして旅が終わってからの暮らしの中で、少しずつ亡くなった人に囚われていた自分に気づき、その人のいない未来に向かって踏み出す希望を感じることになります。子どものまま大人になってしまった森崎先生は囚われていた自分から解放されるのに最も時間がかかります。そして妻をよみがえらせることができるかもしれないという希望を完全に打ち砕かれ、絶望を味わわなくてはならなかったのです。

 

全てが終わった後、出会った人、出来事に別れを告げてアスナは地上の世界へ帰っていきます。シンはアガルタでこれまでと同じように暮らすことはもうできません。しかし森崎先生が最も大きな変化に直面することになるでしょう。アガルタに残るという選択は自棄になったためではないはずです。自分を支えてきた強い思いが失われたとき人は何を感じ、どんなふうに再生していくのだろう?そんなことまで考えさせてくれるのが、この森崎先生という登場人物が強い印象を残す理由なのでしょう。

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